膜構造を用いた生理学的精子選択術
〜ザイモートスパームセパレーターによる最適な精子選択〜
異常を持つ精子が胚発生と生児獲得に及ぼす影響
生児獲得率に影響する因子は卵子、精子、着床する子宮の状態が強く関連づけられています。もしDNAに異常を持つ精子が卵子と受精してしまうと、その後の胚発生と生児獲得の両方に負の影響を及ぼす可能性があります。
DNA異常を持つ精子がART成績の低下を招かないよう、治療においてはどのように最適な精子を選択するかが重要になります。
従来の精子調整方法
密度勾配遠心法
フィルターに原精液を重層させ、遠心にかけることで死滅精子や不純物などを取り除いています。
- ①遠心分離による物理的な影響がDNAの断片化を引き起こす
- ②遠心分離によって精子の細胞質を破壊して活性酸素が発生。活性酸素による酸化ストレスもDNAの断片化を引き起こす
DNAの断片化
すべての細胞には染色体という遺伝情報が含まれていて、染色体にははしごをひねったような2重らせん構造をしたDNAが折りたたまれて入っています。DNAの断片化とは、この2重のらせん構造が損傷している状態をさします。
胚発生の後期に出現する父親DNA因子
精子DNA断片化は、胚発生の3日目以降に負の影響を与えることが知られており、胚盤胞到達率や妊娠率の低下、流産率の上昇に関連すると考えられています。また、精子DNAの断片化率が25%以上の場合と25%以下の場合を比較して、25%以下群の自然妊娠率は5倍高いという文献報告があります。
DNAの修復機能
多くのヒト細胞はDNA断片化などの異常を修復するための能力を備えていますが、精子はその修復機能をそなえていません。DNA断片化が起こった精子が卵子と受精した場合、卵子側のDNA修復機能により胚の修復が起こると考えられています。しかし、胚の発育がうまくいかない患者様や、習慣性流産の患者様は、卵子が持つDNA修復機能そのものが低下している可能性があります。したがって、ART成績の低下を招かないようにするためには、DNAの断片化が起こっていない最適な精子を選択することが重要です。
ザイモートによる最適な精子回収方法
ザイモートスパームセパレーターは、化学物質や遠心分離機を使用せずに、短時間で良好な運動性精子を回収するデバイスです。精液チャンバーと回収チャンバーは、メンブレン(膜)で隔てられていて、その膜には8μmの細かい穴があいています。精液を注入口から注入すると、30分間かけて前進運動性が高い精子がメンブレンを通って上のほうに泳ぎます。精子の前進運動性とDNA断片化には相関があるという報告もあり、高い前進運動性を持つ精子を選ぶことが重要です。原精液の中には不純物に加え、動いていない精子や頭部が大きかったり折れていたりする奇形精子も含まれます。全身運動率の低い精子、8μmの孔を通過できない奇形精子、不純物は精液チャンバーの下部に残るため、遠心分離を行わず効率的に最適な精子を回収口から集めることができます。
お申し込み
費用
自費:33,000円(税込)
保険(先進医療):30,000円
申し込み期限
採卵決定時
注意事項
- ・ICSI症例のみ使用可能です。
申し込みされた方は精子所見がよくてもICSIを行います。
- ・ザイモート使用後に運動精子が回収できなかった場合は、従来法での精子選別となります。なお、その際も返金は不可となります。
- ・原精液の運動精子数や運動精子濃度が少ない場合は使用不可となります。この場合は料金が発生しません。
申し込みされた方は精子所見がよくてもICSIを行います。